(Division of Teruko Weinberg Inc.)
世界一の経済を誇るアメリカ。その規模は日本のおよそ4倍にあたります。海外進出先にアジアの新興国を選ぶ日本の企業の話をよく耳にしますが、アメリカのカリフォルニア一州だけでインドと同じ経済規模があることをご存知ですか? ニューヨーク都市圏だけで韓国の経済より大きいのはご存知ですか? 一国に多くの新興国がすっぽり入ってしまう―――それがアメリカなのです。
しかし、巨大がゆえに市場の攻略は簡単ではありません。 土地によって気候、風土、人種構成、人々の考え方などが大きく異なります。 州ごとに税制や商法が違います。 市場の特性を十分に理解せずにビジネスを始めた結果、「大けが」をして退散する企業は少なくありません。
アメリカの南には中南米地域が広がります。 人口2億人以上の市場を有し、2016年にはオリンピックも開催されたブラジル、自動車産業を中心に日本企業の進出が相次ぐメキシコを中心に、ポテンシャルの高い新興国が揃っています。 中南米全体の経済規模は、じつにASEAN10ヵ国とインドを足した規模に匹敵します。しかし、日本の企業にとっては距離、時差、なじみの薄い文化・言語など多くの障壁があります。 将来的に楽しみな市場にもかかわらず、「遠い」「どんな文化なのか見当もつかない」などの理由で視野に入れていない企業が多いのではないでしょうか?
「アメリカで商品を売りたいが、突破口を見い出せずにいる」「ブラジルやメキシコが将来的に重要な市場なのは分かるが、どんな特性があるのか見当もつかない」「現地で取引するためには誰と組むべきか」―――― こうした悩みをお持ちの方はお気軽にTWI Global Businessまでお問い合わせください。
米州地域で豊富な経験を有する専門家が皆様のビジネスのお手伝いをいたします。
スライド写真に利用した都市について
メキシコ・ケレタロ
自動車メーカーの相次ぐ進出でメキシコ中央高原は『第二のデトロイト』に
メキシコ・メキシコシティー
アステカ文明の名残り漂うメキシコの首都
ブラジル・リオデジャネイロ
2016年リオ・オリンピック開催で経済も波に乗るか注目集める
ブラジル・サンパウロ
ブラジルの歴史的な不況からの回復、まずは南米最大のこの都市から
アルゼンチン・ブエノスアイレス
新政権の『プロビジネス』政策でふたたび脚光浴びる『南米のパリ』
製品の現地での販売にはディストリビュータや代理店等と契約する場合があります。 現地へご進出の場合には法律事務所などを介して登記や各種許認可の取得が必要となります。 インフラ事業に参加する場合は地場の政府や企業との関係構築は欠かせません。 すなわち、市場への「アプローチ」には現地とのネットワーク構築が重要となります。
たとえば――――
「ブラジルへの進出にあたり現地のディストリビュータ、顧客、弁護士やコンサルタントといったパートナーがほしい」
「米国へ進出するにあたり地場のIT企業を買収したい。候補企業のリスクも把握したい」
「メキシコの発電事業に参画したい。政府や提携先候補企業に自社技術をプレゼンテーションしたい」
日々ビジネスを進めるにあたっては多くの問題に直面します。 良好なビジネスを継続するためには迅速な情報の取得や問題への対処が求められます。 また、ある国のビジネスを外から管理している場合、たとえば米国の現地法人から中南米ビジネスを展開しているような企業にとっては、地域全体の政治経済動向や市場の情報に基づく地域戦略が必要になるかもしれません。
たとえば――――
TWI Global Businessは以下のようなサービスもご提供しております:
アメリカ、ブラジル、ドミニカ共和国、ニカラグア、タイなどで政府機関やマーケットリサーチ会社での駐在経験、前職の日本貿易振興機構(ジェトロ)在勤中には東京本部やニューヨーク事務所にて中南米・アメリカ市場や通商政策などに関する調査業務に従事。中南米・アメリカ地域に幅広い人脈を有する。米コロンビア大学国際関係・公共政策大学院卒。著書には「中南米ビジネス拠点の比較とアメリカ企業の活用事例」「アメリカからの中南米市場戦略」「FTAガイドブック2007」「FTA新時代」「ブラジルの電力危機」など多数。
TWI Global Businessは米州地域のビジネスに関する記事を独自の視点で執筆、お客様にご提供しております。ご関心がおありの方は「コンタクト」よりご連絡ください。
ここでは最新の記事を掲載しています。バックナンバー
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目次:
中米諸国出身者を中心とする避難民流入への対策に手を焼くトランプ大統領は、3月29日にメキシコとの国境を翌週に封鎖すると発表、メキシコのみならず米国内でも懸念する声が急速に広がりました。「国境封鎖」の定義を明確にしなかったため、移民や通勤者、旅行者など「人の移動」だけに適用されるのか、それとも両国間の物流も対象とするのかなどの憶測を呼びました。
米国議会や地方政府、業界団体から批判の声が相次ぐと同時に、トランプ政権内でもサプライチェーンへの影響を懸念する声が聞かれたことから、トランプ大統領は(実情は不明ながら)メキシコ政府が同国南部国境付近での避難民の取り締まりを強化したことを理由として「メキシコ政府に一年の猶予を与える。同政府が不法移民や麻薬の密輸問題を解決しなければ自動車輸入に対する25%の追加関税を発動する」と当面は矛を収める姿勢を明らかにしました。他方、税関職員を避難民対策に配置換えしており、職員の不足を原因として貨物トラックの渋滞が続いているとの報道も見受けられます。 上記の一連の騒動で不可解なのがメキシコ政府の動きです。トランプ大統領の一方的な言動や脅しに対して非難する声はオブラドール大統領からは聞かれません。2018年の選挙戦中にトランプ大統領への批判を繰り返していた同氏の姿はすっかり影を潜めています。無論、同氏の最優先課題は外交ではなく内政にあります。外交では基本的には内政不干渉のスタンスを採っており、たとえばベネズエラのマドゥロ政権に対する米州諸国の批判が強まる中、オブラドール大統領は対話重視の姿勢を続けています。
移民局との面会までの期間には避難民にメキシコ側への在留させるようトランプ政権は命じていますが、それに対してオブラドール大統領は立ち往生している避難民に仕事を与えるなど寛大に対処しています。メキシコの失業率は低い水準にあるとはいえ、急増する避難民に仕事を与え続ければティフアナなどの国境都市で市民のあいだで不満が強まることは想像に難くありません。また、メキシコは伝統的には米国とのあいだで独立性を保ちつつ衝突を避ける外交方針を基本としていましたが、長期政権の制度的革命党(PRI)体制が2000年以降に崩れてからは米国政府に対しても強く「物申す」政府が普通となっています。トランプ大統領に対して強い反感を抱くメキシコ国民はオブラドール大統領が選挙戦中に見せた強い姿勢に期待しており、いつまでも「弱腰」ではいられない局面がくる可能性を排除できません。
一年の猶予が与えられたオブラドール大統領がどのような出方をするのか注目されます。
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1月に就任したブラジルのボルソナーロ大統領に早くも黄信号が点滅しています。4月7日付のダータフォーリャ世論調査によると、大統領に対して「非常に良い」あるいは「良い」と答えた回答者の割合は32%にとどまり、「非常に悪い」あるいは「悪い」と答えた回答者30%をかろうじて上回る結果となりました。 大統領就任日から100日くらいまではハネムーン期間と呼ばれ、国民は大統領に対してある程度寛大な見方をします。就任わずか三カ月でのこの低い支持率は、大統領の議会やツイッターを通じた数々の「悪態」、公約どおりではあるものの銃所有要件の緩和や環境規制緩和などリベラル派のみならず中道左派を刺激する政策の導入などが要因に挙げられます。
加えて、選挙戦勝利時の期待が高すぎたことが大きな原因の一つとも考えられます。上記の世論調査の回答者の約六割がボルソナーロ政権の政策を「期待していたよりも低い」と評価しています。労働党(PT)を中心にエスタブリッシュメント政党による相次ぐ賄賂事件で政府が国民の信頼を落とす中、徹底して腐敗や犯罪撲滅を訴えるボルソナーロ大統領の姿は少なくとも一部の国民には「救世主」に映りました。歴史的な景気後退期の中、財政健全化や民営化の実現に関する公約もビジネス界からの支持を集めました。事実、ボルソナーロ政権は公約の実現に向けて積極的に動いています。たとえば政治経済面では行政手続きの簡素化や省庁の整理・統合、徹底的な閣僚主義の排除、三省統合で生まれた経済省の大臣に市場で信頼の厚いゲデス氏の任命、インフラ整備への取組みなど枚挙にいとまがありません。いかなる政策であっても三カ月という短期間で世の中が良くなることはむしろ考えにくく、当初の過剰な期待がゆえに期待と現実の差が開いていると考えられます。
ブラジル経済の回復ペースは予想より遅れています。IMFは2019年の経済成長率予測を1月の2.5%から4月には2.1%に引き下げました。経済回復を実感出来ないでいる国民の政権に対する見方は一層厳しくなりそうです。
そんな中、最重要課題である年金改革の実現が必要不可欠となっています。年金改革は憲法改正法案であり、上下両院ともに議席数5分の3以上の賛成票が必要となります。今までのように議会で「悪態」をつくばかりではいられません。自身の社会自由党(PSL)は先の選挙で議席を伸ばしたといえ少数党に変わりはなく、他党との議会調整が求められます。テメル前大統領は議会調整に定評がありましたが、それでも年金改革を実現することはできませんでした。
支持率を落としたボルソナロ大統領がいかに議会と調整していくかに注目が集まります。